胎児発育不全とは、なんらかの原因によって胎児の発育が遅れたり、停止した状態のことをいう。子宮内の胎児の推定体重をもとに、基準値よりも少ない場合に胎児発育不全が疑われる。
診断方法
胎児・母体・胎盤・さい帯に異常がないかどうかを検査する。
詳しい腹部超音波検査
血液検査
羊水検査
染色体検査
などで検査をしていく。検査の結果、必ずしも異状が見つかるとは限らない。なんらかの原因があって発育が遅れている場合もあるが、普通より小さいだけで元気な場合もある(小さいが正常な胎児)。
原因(胎児の問題)
胎児に原因がある場合は2~3割。妊娠初期の細胞分裂が活発な時期(様々な臓器が形成される時期)に起こるため、妊娠初期から異常がみられる場合が多いとのこと。
染色体異常
先天性形態異常
先天性ウイルス感染症
が、主な原因とされている。
原因(胎盤・さい帯)
胎盤やさい帯に異常があることにより、胎児に栄養を供給できなくなることから起こる。妊娠中期以降にあらわれる。
前置胎盤など胎盤の位置の異常
胎盤の腫瘍や出血
胎盤の血管梗塞
さい帯のねじれや結び目
さい帯の付着部の異常
さい帯感染
原因(母体)
母体に異常があることによって、胎児に十分な栄養を供給できなくなることから起こる。妊娠中期以降にあらわれる。
母体合併症(糖尿病・腎臓病・甲状腺疾患など)
妊娠高血圧症候群
多胎妊娠
アルコール中毒
喫煙
自覚症状はなく、基準より推定体重が少ないことで医師から指摘されることがほとんどのよう。
発育パターン
①均衡型
先天性感染・染色体異常など胎児自体がもつ問題によって妊娠初期に発症した場合。体幹・頭部・手足全てにおいて発育遅延がみられる。全体のバランスはとれているが、全体的に小さいという状態。
治療
有効な発育促進の方法がない。重度だと胎内死亡や生まれてもすぐに亡くなってしまう場合がある。慎重に経過観察をしていく。
②不均衡型
母体から胎児へ送られるはずの栄養が不十分のため、赤ちゃんが栄養失調のような状態になっている場合。妊娠中期以降にみられる。頭囲は標準だが、体だけが痩せているのが特徴。胎盤・臍帯に問題があり、血液の流れが滞っていたり、合併症(妊娠高血圧など)で母体に問題がある場合に起こる。
治療
原因を取り除くことで発育促進が期待できる。入院になることもあるが、母体を安静にすることによって血液が胎児に流れ、改善されることもある。また、妊娠高血圧は治療が必要なときもある。胎児が栄養失調状態のため、母の食事療法・栄養点滴などで胎児に栄養を届けてあげることが重要である。
小さくても発育が見られれば、胎児の予備能力を観察しながら、妊娠を維持していくこととなる。原因や程度によって治療法はかわっていく。
分娩方法
経過が良好なら自然分娩が可能である。
発育不全の子は、予備能力が低い場合が多く、低酸素状態である場合は分娩のストレスに耐えられないことがあるため、帝王切開となるケースもある。
胎児の発育が停止したり、子宮内環境が悪化した場合は、子宮から赤ちゃんを取り出して育てたほうがよいケースもあり、緊急帝王切開となることもある。この場合は、NICU(新生児集中治療室)のある病院に転院しておくのがよい。
成長発達への障害
胎児発育不全の場合、なんらかの障害が残る可能性は高まるといわれている。
特に均衡型の場合は高まる。不均衡型の場合は、28週未満の未熟児は脳に後遺症が残る可能性があるとのこと。栄養失調だけの場合は、軽症ですむこともある。
予防
効果的な予防法は特になく、防ぎようがないよう。
一般的に妊婦さんにいわれている禁酒・禁煙・十分な睡眠・栄養バランスのとれた食事・適度な運動を心掛けることは大切である。
また、発見が早ければ早く治療をすることができるので、しっかりと妊婦健診を受けること。
妊婦健診は 23週までは4週間に1回
24~35週は2週間に1回
36週以降は1週間に1回 となっています。
さいごに
早めに発見してもらえることによって、適切な治療をうけることができ、その後の状態も変わってきます。しっかりとお医者さんにみてもらうこと、また母体は無理をせずに体を大事にすること。
私の場合発見は早かったものの、原因が特定できなかったため、不安な妊娠期間となってしまっていました。が、そんな中でも赤ちゃんは少しずつ大きくなり、成長してくれていました。きっと予備能力が低くなかったのだろうと思います。結果的に染色体に問題がありましたが、何事もなく、ただ単に小さいだけで出生後は問題なく成長できている子もたくさんいるようです。
不安かとは思いますが、しっかりと診察してもらい、赤ちゃんの予備能力を信じ、無事に生まれてこれる命が少しでも多くなることを願います。
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